next up previous
: 参考文献 : kaiho-tama : 降水、その他

まとめ

オアシスプロジェクトの気象水文過程の研究に対する先行研究となる HEIFE プロジェクトを断片的に紹介した。黒河流域と言っても 張掖、臨澤付近の河西回廊に集中した研究であったが、 多くの種類の観測を行い、様々なことが研究された。 準備も含めると80年代後半から始まる研究であり、 気象の分野で中国で最初期に行われた大型プロジェクトとしては 比較的多くの成果を残したと言える。

しかし、データ公開など、計画終了後へ続く活動が弱く、 取得データに比べて研究の広がりが少なかったことも事実である。 特に、水文学的研究は充分とは言えなかった。 また、乾燥・半乾燥地という環境条件下の自然現象に 強く興味が集中し、オアシスなどの人間活動に関しては ほとんど研究されなかったと言える。

氷河や末端湖など、手付かずであった場所を除けば、 河西回廊地区では、観測としては人間活動の影響が強く出るオアシスを中心に 水の循環 (消費) を研究し、他は既存データの収集や 既往研究の成果の統合に勤めるのが良い方策ではないかと 考える。

最後に、引用論文の著者を見て頂きたいのだが、 本当に多数の研究者が多くの事柄を研究して 研究が行われたことが、よく見て取れる。 研究は最終的に研究者という人の頭の中にあり、 材料を集めた上で、どれだけの人がどれだけの時間を使って 対象の解明に当たるかが、もっとも重要である。 少なくとも、筆者はそう強く感じた。



Ichiro Tamagawa 平成14年1月29日