しかし、データ公開など、計画終了後へ続く活動が弱く、 取得データに比べて研究の広がりが少なかったことも事実である。 特に、水文学的研究は充分とは言えなかった。 また、乾燥・半乾燥地という環境条件下の自然現象に 強く興味が集中し、オアシスなどの人間活動に関しては ほとんど研究されなかったと言える。
氷河や末端湖など、手付かずであった場所を除けば、 河西回廊地区では、観測としては人間活動の影響が強く出るオアシスを中心に 水の循環 (消費) を研究し、他は既存データの収集や 既往研究の成果の統合に勤めるのが良い方策ではないかと 考える。
最後に、引用論文の著者を見て頂きたいのだが、 本当に多数の研究者が多くの事柄を研究して 研究が行われたことが、よく見て取れる。 研究は最終的に研究者という人の頭の中にあり、 材料を集めた上で、どれだけの人がどれだけの時間を使って 対象の解明に当たるかが、もっとも重要である。 少なくとも、筆者はそう強く感じた。