以上見てきたように、蒸発量を正確に測定しようとすると 観測に非常に多くの資金と人手を必要とし、さらに解析にも 多くの労力が必要となる。 観測設備として、タワー、乱流計測機それぞれ1点で1,000万日本円程度、 また、HEIFE 全体の観測を維持するのに、70人くらいの人が関わったと 言われている。オアシスプロジェクトは、歴史を中心に据えた プロジェクトであり、水利用を考える上で、蒸発は非常に重要な因子であるが、 ある場所の限られた時間の実態の把握のために、 これほど大きな資源を費す訳にはいかない。水の消費に関わる機構の解明を 中心として比較的小さい領域に資源を投下し、解明された機構を用いた モデリングで歴史的な時間スケールでの水収支の解明へと向かうべきであると 筆者は考える。
オアシスでは明らかに強い人間活動の影響が見られ、 汲み上げられた水が、耕作地で、あるいは再び河川に戻って、あるいは地下水?で 砂漠から、蒸発して消費されている。 この過程を定量的に理解することが大切であろう。