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問題4

問題4   図のように、直方体が液体に浮いている。この直方体を 図の左右方向に微小に傾けた時、安定して浮いているためには、 直方体の密度にはどういう条件が必要か。液体の密度を $\rho$ とし 直方体の左右方向の長さを a、上下方向の長さを 2a、 奥行き方向の長さは必要なら0でない適当な値に仮定して計算せよ。

(横幅 b で、縦 h の長方形の縦方向 h/2 回りの 断面2次モーメントは $ \int^{h/2}_{-h/2} b x^2 dx = bh^3/12$ である。)

\resizebox {0.8\textwidth}{!}{\includegraphics{fig4.eps}}


-- 解答例 --
まず水没部分の高さを求める。直方体の密度を $r\rho$、 奥行き方向の長さを $b$ と置き、 水没部分の高さを $h$ と置くと、直方体にかかる重力と浮力の釣合より

\begin{displaymath}r \rho g (2a a b) = \rho g (h a b ) \end{displaymath}

であるので、

\begin{displaymath}h = 2a r \end{displaymath}

となる。水没部は直方体なのでその浮力の中心は、直方体の底から $h/2 = ar$ の 深さで、もちろん鉛直方向に引いた直方体の中心線上にある。 また、重心位置は同様に中心線上で底から $a$ の所にある。 左右対象な物体が安定して浮いている為の条件は、 浮いている状態で水面が物体を切る断面での断面2次モーメントを $I_G$、 水没部の体積を $V$ 、重心と浮力中心との距離を GC として、


\begin{displaymath}\frac{I_G}{V} - \mbox{GC} > 0\end{displaymath}

であるので、

\begin{eqnarray*}
\frac{\frac{b a^3}{12}}{ a b h } - ( a - \frac{h}{2} )
& = &...
...r ) \\
& = & a \left( \frac{ 1 } { 24 r } - 1 + r \right) > 0
\end{eqnarray*}



$a$$r$ は正の数なので、

\begin{eqnarray*}
\frac{1}{24r} - 1 + r & > & 0 \\
24 r^2 - 24r +1 & > & 0\\
r...
...{1}{2} ( 1 + ( 1 - 0.083.. ) )\\
& & \sim 1 - 0.042 \sim 0.96
\end{eqnarray*}



直方体の密度は、$\rho$ の 96 % 以上 100% 未満である必要がある。

あるいは、小数で直さずに $ \left( \frac{1}{2} + \frac{1}{2}\sqrt{\frac{5}{6}} \right) \rho $ から $\rho$ まで、と答えても良いと思う。



Ichiro Tamagawa 平成14年1月30日