%  管路の形状損失の測定
%          2001/04/19  Word to TeX  by tonto
%          2003/06/12  Correction found in experiment 2003
%          2005/06/01  Update


\ehchapter{管路の摩擦損失・形状損失の測定}

  \ehsection{実験の概要}
管水路におけるエネルギー損失の形態には二種類ある．一つは，管路の長さに比例し
て増大する摩擦損失であり，もう一方は，曲がり，断面の急拡・急縮，バルブなどの
ような局所的な損失である．エネルギーが損失するのは，壁面や断面変化部で渦が発
生しているためだが，管内の流れのためその様子は一般には直接見ることができない．
しかしそのエネルギー損失の様子はピエゾ水頭の変化から調べることができる．
この実験では，管路の途中に，急拡部，急縮部，バルブあるいは曲がり
部を設置して水頭差を測定し，各々に対する損失係数を求める．

  \ehsection{実験器具}
    実験管路一式，ストップウオッチ，メスシリンダー，スケール，データシート

  \ehsection{実験要領}
  \begin{enumerate}
    \item  実験準備
      \begin{enumerate}
        \item 「{\bf 実験装置の計測}」
              実験装置の配管の様子をスケッチする．
        \item ピエゾメータの接続部や，急縮部や屈折部などとの長さを
              流れに沿って上流流入部から下流出口まで計測する．
              計測値はすべてスケッチ図に書き込む．
        \item 次に，管の内径を記録する．管径は管の外側に記載されている．
              ただし曲がり部は計測する．
              計測結果等はすべてスケッチ図に書き込む．
        \item ピエゾメータの接続部の高さを，床を基準に計測する．
              計測値はすべてスケッチ図に書き込む．
        \item スケッチ図から必要な数値をデータシートに書き写す．
        \item 「{\bf ピエゾメータの確認}」
              実験装置の流出部のバルブを閉め，高水槽（持ち上げているタンク）に
              水を満たす．
              そして，ピエゾメータ内の水頭がすべて同じ高さで，かつ，高水槽の
              水面高さと一致していることを確認する．
              問題がある場合には，管内あるいはピエゾメータ内に空気泡が
              混入している可能性がある．適宜調べて空気泡を除去すること．
      \end{enumerate}

    \item  損失水頭の測定
      \begin{enumerate}
        \item 「{\bf 流量の調整}」
              実験装置の流出部のバルブを調整して，管に一定の水を流す．
        \item 高水槽の水位がほぼ一定になるように，水道側のバルブを調整する．
        \item 高水槽の水位がほぼ一定になったのを確認して以下の計測を行う．
        \item 「{\bf ピエゾ水頭の計測}」
              ピエゾ水頭の位置に，後ろ壁の方眼紙に印をする．
        \item 印をしたピエゾ水頭の高さを，床を基準に計測する．
              （高さの計測は，すべての実験が終わった後にまとめて行っても良い．）
        \item 測定結果はデータシートに書き込む．
        \item 「{\bf 流量の計測}」
              実験装置の流出部で，メスシリンダーとストップウオッチで流量を
              計測する．
              計測精度を上げるために，メスシリンダー内の量はできるだけ
              多くする．
              また，この計測は3回行う．
        \item 測定結果はデータシートに書き込む．
        \item 「{\bf 流量安定の確認}」
              計測時間中に，高水槽内の水位が変化していなかったか確認する．
        \item 「{\bf 実験の繰り返し}」
              流量を変えて同様の計測を計10回行う．
              できるだけ幅広い範囲の流量で計測するように，
              流量調整時には心がける．
      \end{enumerate}

    \item  ウォーターハンマーの実験
      \begin{enumerate}
        \item  実験装置の流出部に弁を取り付ける．
        \item  高水槽内の水位を高い位置にする．
        \item  実験装置内の流出バルブを全開にする．
        \item  実験装置の流出部付近に取り付けられた，
               サージタンク（太いビニール管）内の水位に着目する．
        \item  流出部の弁を急激に閉じる，あるいは開いて，サージタンク内の水位が
               どのように変化したか観察する．
      \end{enumerate}
  \end{enumerate}

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  \ehsection{実験結果の整理}
    \begin{enumerate}
      \item データシートの作成
        \begin{enumerate}
          \item  実験中に測定値を記入したデータシートの空欄に，
                 必要な値を計算し数値を記入し，完成させる．
        \end{enumerate}

      \item 動水勾配線・エネルギー線の作図
        \begin{enumerate}
          \item 実験ケースごとに，横軸に管路延長，縦軸に水頭のグラフを作成する．
          \item 上のグラフに，データシートから，ピエゾメータを取り付けた各点での
                位置水頭$z$をプロットする．
                そしてプロット点を結ぶ．
                プロット点を結ぶ際には，実験装置のスケッチ図を参考にし，
                プロット点間で位置水頭$z$がどのように変化しているか考えながら
                結ぶこと．
          \item 上記と同様に，データシート中のピエゾ水頭$h_p = p/(\rho g) + z$を
                をグラフにプロットする．
                そしてプロット点を結ぶ．
                水頭が急激に変化する点を考えながら点を結ぶこと．
                ピエゾ水頭を結んだ線を{\bf 動水勾配線}という．
          \item 上記と同様に，データシート中の全水頭$E = v^2/(2g) + p/(\rho g) + z$を
                をグラフにプロットする．
                そしてプロット点を結ぶ．
                水頭が急激に変化する点を考えながら点を結ぶこと．
                ピエゾ水頭を結んだ線を{\bf エネルギー線}という．
        \end{enumerate}

      \item 管の摩擦損失の整理

        \begin{enumerate}
          \item 長い直管の両端に設置されたピエゾメータの測定値から
                摩擦損失水頭が求められる．
                各実験ケースでの摩擦損失水頭$h_{\ell}$を求めよ．
          \item 管路の摩擦損失水頭の式（Darcy-Weisbachの式）を用いて
                摩擦損失係数$f$を求めよ．
                
                摩擦損失水頭の式とは
                \begin{equation}
                  h_{\ell} = f\frac{\ell}{d}\frac{v^2}{2g}
                \end{equation}
                である．
                ここで，$\ell$は管長，$d$は管径，である．
          \item 管内の流れを滑面乱流と仮定し，修正ニクラーゼの式から
                理論的に摩擦損失係数$f$を求めよ．
                そして実験値，理論値を，横軸$Re$数，縦軸$f$のグラフに
                プロットして実験値と比較・考察せよ．
                
                修正ニクラーゼの式とは
                \begin{equation}
                  \frac{1}{\sqrt{f}} = 2.0 \log_{10}(Re\sqrt{f})-0.8
                \end{equation}
                である．
	            ここで，$Re$数の計算に用いる動粘性係数$\nu$は
        	    $10^{-6}~\mbox{m${}^2$/s}$とせよ．
                
	            修正ニクラーゼの式の計算方法は，右辺の$f$に適当な値
 	            （初期値としてたとえば0.01）を与えて左辺の$f$の値を求める．
	            そしてこの求めた$f$の値を再度右辺の$f$に代入して左辺の$f$の
	            値を求める．これを$f$の値が安定するまで繰り返す．
	            $f$の値がほぼ安定したら，それが求めるべき値である．
         \item  描いたグラフを参考に，管の摩擦損失について考察せよ．
%      \item 摩擦損失水頭の計測結果から，
%            実験で用いたまっすぐな塩化ビニール管のManningの粗度係数$n$を求めよ．
%            Manningの粗度係数$n$を求める際にはManningの式
%            \begin{equation}
%              v=\frac{1}{n}R^{2/3}i^{1/2}
%            \end{equation}
%           を用いること．
%            ここで径深$R=d/4$，エネルギー勾配$i=h_{\ell} / \ell$である．
       \end{enumerate}

      \item 局所形状損失（急拡部）の整理
        \begin{enumerate}
          \item 急拡部での損失水頭を$h_{se}$をデータシート
                および動水勾配線・エネルギー線の図を用いて求めよ．
          \item 得られた損失水頭$h_{se}$から急拡部での損失係数$f_{se}$を求めよ．
                損失水頭は損失係数を用いて以下のように定義されている．
                \begin{equation}
                  h_{se} = f_{se}\frac{v^2}{2g}
                \end{equation}
                急拡部，急縮部での損失水頭の計算では平均流速$v$に細い管内の
                流速を用いること．
          \item 急拡部での損失係数$f_{se}$の理論値を求めよ．
          
                損失係数$f_{se}$の理論値は
                \begin{equation}
                  f_{se} = \left( 1- \left( \frac{d_1}{d_2} \right)^2 \right)^2
                \end{equation}
                で求められる．
                導出手順は教科書を参照．
          \item 急拡部での損失係数$f_{se}$について，
                計測で得られた値と理論値とを比較しながら考察せよ．
                また想像される管内の流れの様子を図などで説明せよ．
        \end{enumerate}
        
      \item 局所形状損失（急縮部）の整理
        \begin{enumerate}
          \item 急縮部での損失水頭を$h_{sc}$をデータシート
                および動水勾配線・エネルギー線の図を用いて求めよ．
          \item 得られた損失水頭$h_{sc}$から急縮部での損失係数$f_{sc}$を求めよ．
                損失水頭は損失係数を用いて以下のように定義されている．
                \begin{equation}
                  h_{sc} = f_{sc}\frac{v^2}{2g}
                \end{equation}
                急拡部，急縮部での損失水頭の計算では平均流速$v$に細い管内の
                流速を用いること．
          \item 急縮部での損失係数$f_{sc}$は太管の断面積を$A_1$，
                細管の断面積を$A_2$として{\bf 表~\ref{cong}}の通り整理されている
	            （水理公式集，土木学会編）．
	            この表から急縮部での損失係数$f_{sc}$を読み取る．
	    \begin{table}[t]
	    \caption{急縮部での縮流係数$A_2/A_1$と損失係数$f_{sc}$}
	    \label{cong}
	    \begin{center}
	    \begin{tabular}{c||c|c|c|c|c|c|c|c|c|c}
	    \hline \hline
	    $A_2/A_1$ & 0.1 & 0.2 & 0.3 & 0.4 & 0.5 & 0.6 & 0.7 & 0.8 & 0.9 & 1.0 \\ \hline
	    $f_{sc}$ & 0.41 & 0.38 & 0.34 & 0.29 & 0.24 & 0.18 & 0.14 & 0.09 & 0.04 & 0 \\ \hline \hline
	    \end{tabular}
	    \end{center}
	    \end{table}
          \item 急縮部での損失係数$f_{sc}$について，
                計測で得られた値と資料からの値とを比較しながら考察せよ．
                また想像される管内の流れの様子を図などで説明せよ．
        \end{enumerate}
        
      \item 局所形状損失（曲がり部）の整理
        \begin{enumerate}
          \item 曲がり部での損失水頭を$h_{b}$をデータシート
                および動水勾配線・エネルギー線の図を用いて求めよ．
          \item 得られた損失水頭$h_{b}$から曲がり部での損失係数$f_{b}$を求めよ．
                損失水頭は損失係数を用いて以下のように定義されている．
                \begin{equation}
                  h_{b} = f_{b}\frac{v^2}{2g}
                \end{equation}
          \item 曲がり部での損失係数$f_{b}$は，経験的に，
                曲がりの曲率半径と管経の比$\rho /D$で定まる係数$f_{b1}$と，
                曲がりの角度$\theta$で定まる係数$f_{b2}$との積
                $f_{b}=f_{b1}f_{b2}$で表すことができる．
                本実験では便宜的に
                $f_{b1}=0.08$，$f_{b2}=1.30~(\theta = 180^{\circ})$として
                曲がり部での損失係数$f_{b}$の経験値を求めよ．

                参考に係数$f_{b1}$，$f_{b2}$のグラフを{\bf 図~\ref{curve}}に示す
	            （水理公式集，土木学会編）．
                \begin{figure}[b]
                  \begin{center}
                  \resizebox{0.4\textwidth}{!}{\includegraphics{pipeflow01.eps}}
                  \hspace{2em}
                  \resizebox{0.4\textwidth}{!}{\includegraphics{pipeflow02.eps}}
                  \end{center}
                  \caption{曲がり部の損失係数$f_{b1}$，$f_{b2}$}
	              \label{curve}
                \end{figure}
          \item 曲がり部での損失係数$f_{b}$について，
                計測で得られた値と便宜的に見積もった値とを比較しながら考察せよ．
                また想像される管内の流れの様子を図などで説明せよ．
        \end{enumerate}
        
      \item 局所形状損失（屈折部）の整理
        \begin{enumerate}
          \item 屈折部（$90^{\circ}$屈折1ヶ所，$45^{\circ}$屈折2ヶ所）での損失水頭を$h_{be}$をデータシート
                および動水勾配線・エネルギー線の図を用いて求めよ．
          \item 得られた損失水頭$h_{be}$から屈折部での損失係数$f_{be}$を求めよ．
                損失水頭は損失係数を用いて以下のように定義されている．
                \begin{equation}
                  h_{be} = f_{be}\frac{v^2}{2g}
                \end{equation}
          \item 曲がりでの損失係数$f_{be}$は真っ直ぐな状態からに曲がり角を$\theta$として{\bf 表~\ref{elbow}}の通り整理されている
	    （水理公式集，土木学会編）．
	    \begin{table}[t]
	    \caption{屈折部での損失係数$f_{be}$}
	    \label{elbow}
	    \begin{center}
	    \begin{tabular}{c||c|c|c|c|c|c}
	    \hline \hline
	    $\theta$ & $15^{\circ}$ & $30^{\circ}$ & $45^{\circ}$ & $60^{\circ}$ & $90^{\circ}$ & $120^{\circ}$ \\ \hline
	    $f_{be}$ & 0.022 & 0.073 & 0.183 & 0.365 & 0.99 & 1.86 \\ \hline \hline
	    \end{tabular}
	    \end{center}
	    \end{table}
	            この表から屈折部での損失係数を読み取る．
          \item 急縮部での損失係数$f_{sc}$について，
                計測で得られた値と資料からの値とを比較しながら考察せよ．
                また想像される管内の流れの様子を図などで説明せよ．
        \end{enumerate}
        
      \item 実験全体
        \begin{enumerate}
          \item  実験全体を通して，考察，感想を記せ．
        \end{enumerate}
        
    \end{enumerate}

  \ehsection{データ整理上での注意点}
    \begin{enumerate}
      \item データ整理では，表形式に記述すると自分自身もわかりやすく，
            ミスも少ない．
      \item パソコンソフトを使って解析してもよい．
            ただし途中の手順が分かるように，用いた式などは明記すること．
      \item 摩擦損失係数や他の損失係数の実験値が理論値や文献の値と
            大きく異なる場合には実験データ処理での計算ミスの可能性が高い．
      \item データシートおよび動水勾配線・エネルギー線の図は，班の代表者が
            原紙をレポートに添付するのみでよい．
            各人がコピーを添付する必要はない．
    \end{enumerate}

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