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水理学 I 小テスト (2002.12.17) 解答例

問題1  以下の \fbox {A} $\sim$ \fbox {D} にもっともよく当てはまる 文の番号を \fbox {1} $\sim$ \fbox {6} からそれぞれ選んで答えよ。

ニュートン力学において質点の運動方程式 $\displaystyle \mathbf{F}=m \frac{\partial^2 \mathbf{x}}{dt^2}$ ($\mathbf{F}$:質点に働く力、$\mathbf{x}$: 質点の位置) を、 $\displaystyle \mathbf{F}= \frac{d \mathbf{p} }{dt}$ ($\mathbf{p}$: 質点の運動量) と 考えるのとまったく同様の法則である水理学における運動量の法則は、 単位質量あたりで記述されている流体の運動方程式に密度を乗じて 空間に固定された検査領域で積分することによって得られる。


\begin{displaymath}\frac{\partial}{\partial t}\int_{V} \rho\mathbf{u} dV
+ \int...
...}\cdot\mathbf{n})dS
= - \int_{S} p \mathbf{n} dS + \mathbf{F} \end{displaymath}

である。 ここで、$V$ は検査領域の体積、$S$ は検査領域の表面、$\mathbf{n}$ は 微小面 $dS$ の法線ベクトルを表す。 この式の各項の表す意味は以下のようになる。
$\displaystyle \frac{\partial}{\partial t}\int_{V} \rho\mathbf{u} dV $ --\fbox {A}
$\displaystyle \int_{S} \rho \mathbf{u} (\mathbf{u}\cdot\mathbf{n})dS $ --\fbox {B}
$\displaystyle -\int_{S} p \mathbf{n} dS $ --\fbox {C}
$\displaystyle \mathbf{F} $ --\fbox {D}

\fbox {1}
検査領域の表面から単位時間に出て行く運動量
\fbox {2}
検査領域内の流体が受ける力で圧力以外のもの
\fbox {3}
検査領域内の流体の持つ運動エネルギー
\fbox {4}
検査領域内の流体の運動量の単位時間あたりの増加量
\fbox {5}
検査領域内に流れ込む流体の質量
\fbox {6}
検査領域の表面で圧力が流体に対して及ぼす力

\fbox {\begin{minipage}{0.8\textwidth}%\begin{itemize}
\item[\fbox{A}] 4
\item[\fbox{B}] 1
\item[\fbox{C}] 6
\item[\fbox{D}] 2
\end{itemize}\end{minipage}%}


問題2  図のように断面が円形で直径 $d$ のパイプが 90度に曲がっている (図のように x 軸 y 軸を取ることにする)。 その中を圧力 $p$ 流速 $v$ で、密度 $\rho$ の水が定常に流れている時、 パイプにかかる力はいくらか。x 成分、y成分ともに答えよ。 ただしパイプ内での摩擦や重力、渦、地球回転などは無視することとする。
\resizebox {0.8\textwidth}{!}{\includegraphics{fig1.eps}}
 

\fbox {\begin{minipage}{0.8\textwidth}%運動量の収支を考える。検査領域に運動量..
...{4} \left(\rho v^2+p \right)\\
\end{array} \right) $\ となる。
\end{minipage}}


問題3  図のように 大気中へ吹き出した2次元的な噴流が、 板に対して $\theta$ の角度で定常的に衝突している。 衝突前の噴流の厚みは $b$ で流速は $v$ であり、 衝突後、板に平行に $v_1$ および $v_2$ の流速でそれぞれ厚み $b_1$ および $b_2$ で 両側へ流れて行ったとする。 この問題に対して、以下の設問に答えよ。ただし、重力や摩擦あるいは渦の影響などは 考えないで良いとし、流体の密度を $\rho$ とせよ。
\resizebox {0.8\textwidth}{!}{\includegraphics{fig2.eps}}
 
3-1
この噴流は大気中に吹き出していること、 また渦や摩擦の影響を考えなくてよいことから、図の左から入って上下へ抜けていく それぞれの流線上で、ベルヌーイ定理の適用が可能であると考えられる。 $v$, $v_1$, $v2$ それぞれの関係を求めよ。

\fbox {\begin{minipage}{0.8\textwidth}%大気中に吹き出していることから圧力はど..
...泙蝓\begin{displaymath}v = v_1 = v_2 \end{displaymath}である。
\end{minipage}}

3-2
流量は保存することから、$v$, $v_1$, $v_2$, $b$, $b_1$, $b_2$ には 関係式が成り立つ。関係式を示せ、また上問の結果を利用して整理せよ。

\fbox {\begin{minipage}{0.8\textwidth}%(単位奥行当たりの)流量の保存より、
\beg...
... v_2 $\ なので
\begin{displaymath}b = b_1 + b_2 \end{displaymath}\end{minipage}}

3-3
図のように板面に平行に y軸、垂直に x軸を設定した場合、 板面で摩擦がないことを考慮して、 y 方向の運動量の保存を点線で示したような 検査面で考えて、その結果から $b_1$ および $b_2$$b$ の関係を求めよ。

\fbox {\begin{minipage}{0.8\textwidth}%摩擦がないことから y 方向に流体には壁面...
...-\cos\theta}{2}\right) \\
\end{array} \end{displaymath}となる。
\end{minipage}}


3-4
x 方向の運動量の収支から板面にかかる力の大きさ(2次元問題なので もちろん単位奥行方向長さあたりの力である)を求めよ。

\fbox {\begin{minipage}{0.8\textwidth}%x 方向の運動量保存を考えると
$ \rho b v^2 \sin\theta $\ となる。
\end{minipage}}


問題4  図のように 途中で断面積が $a_1$ から $a_2$ に大きくなるパイプがあり、 そこに密度 $\rho$ の流体が左から $v_1$ で流入し右へ $v_2$ で定常的に流出している。 この流体について以下の設問に答えよ。 ここで重力や壁面での摩擦などは考えないことにする。
\resizebox{0.8\textwidth}{!}{\includegraphics{fig3.eps}}
 


4-1
流量の保存式を示せ。

\fbox{\begin{minipage}{0.8\textwidth}%\begin{displaymath}a_1 v_1 = a_2 v_2 \end{displaymath}\end{minipage}}

4-2
図の点線で示したように、断面急拡大部のすぐ下流側と そこより充分下流側に検査面を設定した場合、その検査面で囲まれる 検査領域で、以下の事を考慮して、その運動量の保存式を示せ。

\fbox{\begin{minipage}{0.8\textwidth}%\begin{displaymath}\rho a_2 v_2^2 - \rho a_1 v_1^2
= a_2 p_1 - a_2 p_2 \end{displaymath}\end{minipage}}

4-3
上の式を整理して、圧力の低下量 $p_1 - p_2$$v_1$ を用いて表せ。

\fbox{\begin{minipage}{0.8\textwidth}%\begin{displaymath}\begin{array}{ccc}
p...
...ght)^2 - \frac{a_1}{a_2}\right\}\\
\end{array}\end{displaymath}\end{minipage}}




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I. Tamagawa 平成15年1月6日