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: HEIFE の概観 : kaiho-tama : kaiho-tama

はじめに

1989年から 1993 年まで、中国科学院蘭州高原大気物理研究所 (現、寒区旱区 環境与工程研究所) と京都大学防災研究所を中心に張掖、臨澤付近で 気象学・水文学的プロジェクト 「黒河流域における地空相互作用に関する日中共同研究 (HEIhe river Field Experiment) 」 が行われた。これは、World Climate Research Program (WCRP) の下に 第3の HAPEX (Hydrological and Atmospheric Pilot Experiment) として 企画され、大循環モデル(GCM) の1グリッドのスケールである 100km 四方程度での 地表面および水文過程における蒸発、降水、流出、熱輸送といった問題に 対して役立つ総合的なデータセットを作成することを目標としていた。 実際には、日本と中国の2国間プロジェクトとして行われ、 既存データの収集とともに多くの観測が行われた。

包括的な紹介は、参考文献(光田 1996[3]、 光田 1998[4] )にあるが、ここではその一部に限って 計画と研究結果を紹介する。しかし、本論記述後筆者はこちらの方が むしろやや包括的かも知れないと感じている。

なお、HEIFE の研究結果は、多くの論文として発表されているが、 まとまった物としては、最終ワークショップの結果が、「乾燥地の自然環境」 と題して日本気象学会から気象研究ノート第184号として 1995年に刊行されている他、 同じく日本気象学会の英文論文誌 Journal of Meteorological Society Japan も 1995年の 10月、12月号の特集号があり多くの論文が掲載されている。 他の雑誌や別の時期に単発で論文が発表されていることは言うまでもない。

集められたデータや観測結果は、本来データセットとして配布されるはずであったが、 人的資源の不足で、整備されたデータセットは結局作成できず2000年から、 京都大学防災研究所大気災害部門暴風雨災害研究分野の WWW サーバ上に 'as is' で公開されており誰でも利用可能になっている ( http://ssrs.dpri.kyoto-u.ac.jp/heife/ )。



Ichiro Tamagawa 平成14年1月29日